スノーボードを撮るための3本のレンズ-小三元のススメ。

スノーボードを撮るための3本のレンズ-小三元のススメ。

スノーボードカメラマンは雪山に登って滑って現場まで行くので、なるべく軽くなるように選りすぐりのレンズを持っていきます。

20年以上プロとして活動してきて、このレンズさえあればスノーボードのほとんどの場面に対応できるという3本のレンズを紹介します。

望遠、標準、広角の小三元ズームレンズで間違い無し

スノーボードやスキーのアクション撮影に関しては、この3本のズームレンズですべて撮ることが出来ます。アクション撮影に付随するポートレイト撮影や商品撮影、いわゆる物撮りもライティング次第で問題ありません。

「小三元」ズームレンズとは開放値f4の望遠70-200mm,標準24-105mm,広角16-35mmの3ズームレンズのことをいいます。もう一つ「大三元」と呼ばれる開放値がf2.8のズームレンズもあります。プロは大三元を使うと言われていますが私は小三元、特に70-200 f4を愛用してきました。雑誌の表紙はもちろん、大企業の広告撮影もこのレンズで撮ってきました。

もっと望遠域が必要ではないのかと不安に思われるかもしれませんが、基本的には200mmより望遠は余り使うことがありませんでした。被写体が遠いようだったら近寄って撮っています。撮影前にどうしても近寄れないけれども近づいた画が必要な時は倍率を1.4倍にするエクステンダーを用意したり、場合によってはレンズをレンタルします。

昔東京ドームや札幌ドームでボードの大会が行われていた時は300mmf2.8や400mmf2.8をレンタルして撮っていました。ちなみに真駒内アリーナでトヨタビックエアーが開催されていた時はEF70-200f2.8ISで全く問題ありませんでした。

なぜ大三元やもっと安いレンズではダメなのか?

スペックに余裕のあるレンズはいろいろな場面での使い回しも効くのは確かです。でもそのために犠牲にしているものとのトレードオフで手に入るメリットが大きいのです。

また、小三元より安価なレンズを選ばないほうが良い理由もいくつかあります。プロの私が小三元を選ぶ理由をまとめてみました。

圧倒的に軽い

スノーボードカメラマンにとって軽さは圧倒的な正義です。我々はザックタイプのカメラバックを背負いスノーボードやスキーをして撮影現場に向かいます。バックカントリーに入るならそれ相応のショベルやゾンデ、スノーシューにストック、携帯食料なども一緒に背負います。

スノーボードやスキーをする時だけではありません。数時間深い新雪の中をハイク(雪上を歩くことです)して現場まで行くこともあります。しかもプロアスリートのスノーボードやスキー、ハイクにおいていかれないようについていかなければいけません。ときには先頭を走って現場に連れていかなければならない時もあります。一般的なスノーボードスキルしか持ち合わせていない私はなるべく機材を軽くしてパフォーマンスを上げていく必要があります。

以下はキヤノンでのカタログ値で重さを比較した表です。

小三元(f4) 大三元(f2.8)
16-35mm(広角) 615g 790g
24-70(105)mm(標準) 795g(24-105mm) 805g
70-200mm(望遠) 760g 1940g 合計差↓
合計 2170g 3535g  1365g

小三元の標準レンズが24-105mmになっているので、標準域での違いはそんなに違いがありませんが、望遠域では圧倒的な重量差があります。僕自身、望遠のみf4を使用して、他は大三元のレンズにすることもあります。

1.3kgの重量差があれば、パフォーマンスにかなりの違いが出てきます。

描写力が非常に高い

f4のズームは比較的最近出てきたレンズで、設計がデジタル対応になっています。そのため描写力は非常に高いです。業界の目のこえた人でも大三元と小三元の描写の違いは見抜けませんでした。

まあ、見抜く見抜けないはどうでもいい問題だとしても、私が描写力の点でf4を使わないということはありません。実際、名玉として名高いEF70-200f2.8ISの2型も所有しておりますが、雪山での撮影では躊躇なくEF70-200f4ISを持ち出します。

機材を含め多くの部分で携行品を軽くすることに心血を注いでいますが、描写力では妥協したくありません。この部分で妥協しなくてよいのはとても大事なメリットです。

雪原で明るいレンズは必要ない。ボケも必要ない

雪山はとても明るいです。雪面の反射もあり、普通のところより明るいです。晴天ではシャッタースピード1/1000にしてもf8くらいまで絞ります。実用上f4くらいまで開放値があれば撮れないということはありません。

開放値はボケ味に影響を与えますが、f2.8の開放できれいなボケを作って撮ることもあまりありません。

スノーボードの写真はどんな景色の中で滑っているのか、どんなすごいところで滑っているのかということを説明したいのです。そのため背景をボカすより、パンフォーカス(すべての部分にピントが合っている)で撮ることが多いです。私はそのような写真を撮っています。

暗くて撮れない状態の時は、ボディの性能が上がっているので、感度を上げて撮影します。

防水防塵である

キヤノンLレンズのマウント接合部にはラバーリングがついている。

突然の吹雪はもちろん、雪が降りしきる中での撮影も珍しくありません。北海道や八甲田山などでは1月2月のほとんどは悪天候だと思ってください。ちゃんと製造元が防水防塵を保証しているレンズでないと怖くてやってられません。

その昔は防水防塵なんてなかった時代は大げさなレインカバーを付けて撮っていましたが、そんなことしなくても防水防塵のレンズを使いたいです。安いズームレンズとの決定的な違いはここにあります。

最低F値が固定されている

これは高倍率のズームレンズによくあります。開放f値が4-5.4などとなっているレンズです。小三元レンズはどの焦点域でも開放はf4となっています。これはどういう事が起こるのかというと、暗い写真や手ブレした写真になってしまう可能性があるのです。

私はすべて思った通りにコントロールしたいのでマニュアル露出で撮っています。フィルム時代は単体露出計を使って厳密に露出を計測して撮っていましたが、デジタルに移行してからはカメラ内の露出計で表示される値を参考にして、自分の経験で露出を決めて撮影します。雪山では内蔵露出計は正常に機能しないので参考程度にしか使えません。

さて、f値が固定されてないレンズを使うとどんなことが起きるのか? 例えばこんな感じです。決め込んだ露出で待機しています。さあ、ライダーがスタートしました。その時急に太陽に雲がかかり、急激に暗くなりました。とっさにシャッタースピードを変更してシャッターを切ります。ところがf4のつもりがf5.4になっていて手ブレするほどの遅いシャッタースピードになってしまいブレた写真になってしまいました。

もしくは、f4のつもりがズームでよっていてf5.4になっているのを忘れてしまい明るくすることが出来ず、とてもアンダー(暗い)な写真に仕上がってしまったなんてことです。

まあ、このあたりは自分のからだがf4に慣れてしまっているのでそうなる部分もあるかもしれません。f値固定でなければ最高f値のf5.6に基準をあわせて撮ればいいだけですので、少し私も精進しなければいけない部分かもしれません。

価格が安い

大三元と比較するとかなり安くおさえられます。価格ドットコムで価格を調べたところ小三元なら34万円程度で3本揃えられます。大三元なら60万円近く。大三元半額とまでは行きませんが、かなり安く揃えられます。

信頼できるショップから中古を買うという手もあります。そうすればもっと安く揃えることが出来ます。ちなみに純正の小三元レンズなら、リセールバリューも高く、中古で売ったとしても、そんなに損するようなことはありません。

おすすめレンズ

具体的にどんなレンズがあり、どんな描写をするのかみてみましょう。私はキャノンを使用していますので実際に使用したのはキャノンのレンズのみにはなりますが参考にしてみてください。

70-200mm 望遠

Canon EF70-200mm F4L IS USM

間違いなく名玉です。先に書きましたが雑誌の表紙も数々撮りました。描写力には全く不満点はありません。10年以上使って、一度だけISが壊れてしまいましたが修理して長く使っています。
現在は2型が出ています。購入しましたら、雪山にて詳細なインプレッションをしてみたいと思います。

 

Nikon AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR

ニコン使いのプロの方にEF70-200mm f4を羨ましがられたことがありましたが、ニコンからも数年前に出ました。使ったことはありませんが後発ですしニコンのレンズですからかなり良い描写をするはずです。

 

24-105mm 標準

CANON のf4レンズにはEF24-70mm F4L IS USMもありますが、とっさの時望遠域が105mmまであるのは助かります。雪山で結晶の写真を取りたい場合はマクロも撮れるEF24-70mmという選択もありです。手ぶれ補正がついているので手持ち撮影の多いアクションスポーツにはぴったりです。

 

AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR

キヤノン使いとしてはかなり羨ましいレンズ。120mmまであるのはかなりのアドバンテージです。ボケや描写もかなり良さそうです。キヤノンは2型が出たばかりなのでこれに追いつくのはかなり先でしょう。このズームでは追いつかないかもしれません。こちらも手ぶれ補正付き。

 

16-35mm 広角

広角の小三元は17mmスタートでしたが、新型になり16mmスタートになり雪山でf2.8を選ぶ必要がほぼなくなりました。描写性能もかなり向上したようです。

 

AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR

ニコンの広角ズームはどれも定評があり、このレンズも評判が良いようです。名玉NIKKOR 14-24mm f/2.8Gの影に隠れていますが、こちらも超おすすめのレンズ。前玉にフィルターが付けられるのも14-24mmよりおすすめの点です。

 

まとめ

小三元はハイアマチュアが使うレンズのようによばれていたり、大三元の安価版のような扱いを受けています。私は用途を限定してプロが使っても良いレンズだと考えます。

私自身、尊敬するカメラマンが70-200f4をハーフパイプ上で使用しているのをみて、購入し、そのものすごい描写力に腰を抜かしました。まあ、当時使用していたのがフィルム世代の70-200f2.8でしたのでそうなったのでしょうけど。

レンズカテゴリの最新記事