札幌でSONY FE 14mm F1.8 GM 【SEL14F18GM】を使って星景を撮ってみた

札幌でSONY FE 14mm F1.8 GM 【SEL14F18GM】を使って星景を撮ってみた

2021年の初夏に某大手企業のカタログ用イメージ写真で星景写真を撮って欲しいとの依頼がありました。現段階でカタログが配布されていないのでこの話はまた改めて。

そんなわけで、2021年夏に星景を撮るなら、新製品のSONYのFE 14mm F1.8 GM が最適でしょう!ということでこちらを入手して札幌で星景を撮ってみました。

札幌で撮った星景写真

星景とは星と風景が同じ画角の中に入っている写真の事のようです。ということは星だけの写真は星景とは言わないのでしょうね。

そんな星景を撮るために僕がしたことを紹介しながら、FE 14mm F1.8 GMで撮った写真を紹介しようと思います。

撮影場所の決定

星の写真はとにかくまわりが暗いこと。200万都市の札幌で人明かりが少ないと言えば南区の奥あたりでしょう。

たまたま運良く2021年夏に定山渓観光協会の仕事をすることがあり、マネージャーさんより星景写真に良いポイントを教えていただきました。

北海道胆振東部地震の前後のタイミングで星景写真のスポットとして定山渓でプロモーションする予定だった場所のようです。ところが北海道全域がブラックアウトするという事態になり、別にどこでも星景写真撮れるんじゃないかってことで、プロモーションは中止になったようです。

地図上の第四展望台は駐車場から階段で登った小高い場所になりますが、暗いと分かりづらいので、明るいときにロケハンしたほうが良いと思います。僕はロケハンしていなかったので下の駐車場から撮ることになりました。

星や星座の位置確認

星の出方は便利なアプリがいろいろあるので、それを利用しました。

私が利用したのはStar Walk 2の無料版でした。以下に一応リンクをはっておきます。

方角の検討

どの星系を撮るかによって方角が重要になってきます。僕はわかりやすい天の川を撮りたかったのでその方向に障害物がないかGoogleマップで詳細に検討しました。

星と風景ですので対象物の方角に何があるか?札幌の街があると地平が明るくなるのでそのあたりも考えながら場所を決めていきます。

日時の決定

星景写真の日時決定には「天気」「日の入り日の出時間」「月齢と動き」「星の動き」の4要素を検討し、すべての条件が揃った日時に撮影します。

天気

快晴の日がベストですが、少しの雲ならメイン星系にかかっていなければよいのではないかと思います。

僕は普段手軽なYahoo!天気でその地点の大まかな概況を把握して、雲や風、雨雪などの細かい情報をGPV気象予報を利用して把握します。冬山撮影でもだいたいこの方法で天気を判断しています。

日の入り日の出時間

日の入りと日の出時間は国立天文台の「各地のこよみ」ページで調べます。

ここで注意が必要なのは、日の出日の入り時刻から1時間以上離して撮影することです。6月下旬に撮影したときは3時半頃の日の出だったのですが2時半ごろには太陽の影響が出てきました。

6月。2時半には若干太陽の影響が出て見える星が少なくなってきました。長時間撮影していたので結露して像が若干流れてもいます。

月齢と動き

新月で月が輝いていない夜なら特に気にする必要なありませんが、月が少しでも出ているようでしたらやはり影響が懸念されます。

こちらも同じく国立天文台の「各地のこよみ」で月齢および月の出、月の入り時間を把握の上撮影日時を決定いたします。

黒岳石室付近で撮影。月が明るすぎて星がほとんど見えていません

撮影機材の選定

星は地球の自転によって動いています。人間の目では動きは確認できませんが30秒以上の長時間露光だと影響が出てきます。おのずと短時間で星が写るように明るいレンズ、高感度でもきれいな画像が出力できるカメラが必要になります。

赤道儀という地球の自転速度に合わせて微動する星景写真用の機材があります。こちらを利用することにより開放値が暗いレンズでも長時間露光できれいな星景を撮ることができますが、今回は使用致しません。持っていないので。。

そして、星を隅々まできれいな点で表現するため、F値開放で隅々まで収差が少ないレンズが必要となります。

レンズの収差とは実際の被写体にはないボケとか歪み、色づきのことです。ザイデルの5収差や色収差など、種類や性格がいろいろあるようですが僕も完璧に理解できていません(フォトマスター検定の1級を取得した際、徹底的に勉強しましたので、ある程度理解してますが人に講釈垂れるほどではありません)。各レンズメーカーがこの収差を抑えるために日夜努力していて、最新で高価なレンズほど収差がおさえられている傾向にあります。また、F値を絞れば改善される収差と改善されない収差などあります。

要するに高性能な明るいレンズが星系撮影には適しています。

天の川を雄大に写したいので超広角レンズが良いです。そこで2021年超話題の「FE 14mm F1.8 GM」の登場です。

各種レビューでも絶賛されているプレミアムなレンズです。サイズも小さいのでαシリーズにベストマッチです。星景撮影に最適です。

今回ボディはSony α7RIIIで開放F1.8で地球自転の影響も出ないであろう10秒露光で撮影しました。

α7RIII 10s,f1.8 iso1600。画像左が明るいのは札幌の街明かりの影響。下が明るいのは定山渓の明かりの影響です。

まわりは真っ暗でしたが、左に札幌の街明かりの影響と下部に定山渓の明かりの影響が出てきました。

天の川も肉眼ではほぼ確認できませんでしたがソニーの高性能センサーはしっかりと写し撮ってくれてました。

レンズの性能を確認するため右上隅を等倍拡大してみますと若干のコマ収差が確認できました。

右上隅の等倍画像。普通に鑑賞する分には気にならない。

普通に鑑賞する分には気になるような収差ではありませんが、コマ収差は絞れば改善されるので、少し絞って露光時間を増やし、赤道儀等使えば四隅までバリバリ解像する写真も撮れるでしょう。

結露にも注意が必要

今回は2時間程度の撮影でしたので影響はありませんでしたが、ひと晩中撮影する際はレンズが結露して雲がかかったようになります。

Amazon等にレンズヒーターが安価で売っていますので使用するといいでしょう。

星景以外の被写体について

星景写真に良いということはそのレンズの素性がものすごく良いということでもあります。

ちょっと昼間に撮ってみたものも見てみましょう。

ボケ

広角レンズでは、あまり被写界深度を浅くしてボケを活かす撮影はいたしませんが、F値1.8ですのでボケもきれいに出ます。

9枚羽根円形絞りを採用してるので、後ろの光源がきれいな玉ボケになっています。

シャープネス

上記の写真を等倍拡大してみてびっくりしましたが、ピントの合ったところはものすごく解像していました。

SS1/250,f1.8,iso100。枝の小さなヒゲも写し出しています。

最短撮影距離も0.25mと短いので、ポートレイト撮影や上記のようなネイチャー撮影でも被写体にぐっとよってボケをいかした撮影ができます。

逆光耐性

最新の超広角レンズですので、かなり逆光に強いコーティングが施してあるとは思いますが、一応テストしてみました。

SS1/60,F13,iso200。

従来のレンズに比べればものすごく良い逆光性能で、太陽を画角に入れた写真も躊躇なくできます。

ただ、他の写真では角度によってゴーストが出ていましたので、ある程度撮影時に構図を考慮する必要はあります。

実は逆光テストでこの上記写真を撮ったのですが、Lightroomで露出をいじってて、暗部の再現性にびっくりしました。α7RIIIのダイナミックレンジが広いからかと思いますが、真っ黒につぶれているところも明るくすると表情を再現します。やはりソニーのセンサーとレンズは素晴らしいです。

Sonyにはもう一つFE 12-24mm F2.8 GMというウルトラなレンズがあります。こちらも評判がとても良く12mmという超超広角を撮るのならこちらしか選択肢はありませんが価格もウルトラに高価です。また、結構大きくて重いようです。

 

撮り方カテゴリの最新記事