フラットライト時の撮影法でストロボを使用する方法を説明しましたが、ストロボを使用できるのは限定的な場面です。
カメラだけで撮らなければならないときがほとんどです。その際はPhotoshop(以下PS)で写真を印象的なものにします。上の写真はBeforeが撮ったままの状態の写真でAfterは今から説明する方法で処理したものです。かなり劇的に変えることができます。
フォトショップを使える方でしたら特に難しい作業ではありませんので是非トライしてみてください。
PHOTOSHOPの後処理で救出
基本的には元データに十分な情報が残っていないとフォトショップでの救出には限界があります。ただし現在販売されているデジタル一眼は非常に高性能ですので「人間の目」以上に情報を記録しています。画像情報が隠れている状態とも言えます。
フォトショップでの後処理は、その隠れている情報ををあぶり出す作業になります。
現場では後処理することを考えてROWで撮ります。露出の説明でお話したようにテキか若干アンダーで撮ります。雪の陰影のデータを残すためです。
1.カスミ除去で陰影を出す。
さて、下の写真はフラットライトでどんな状態で滑っているのか良くわかりません。ただライダーが楽しそうに滑っているだけで、あまり印象的な写真ではありません。ですので、とにかくどんなパウダーの中で滑っているのか説明する写真にして臨場感を出そうとします。
ROWデータの写真をPSで開きます。するとCamera Rowでデータを開いてくれます。ちなみに、これは古い写真ですのでEOS-1D MarkIIIで撮っています。
ここでカスミ除去というスライダーをプラスに補正します。数値は画像を見ながら不自然にならないくらいまで上げます。この時は+65まで上げました。そうすると見えていなかったパウダーの形などが浮き上がり、周りの状況がわかる写真に変わります。
ここまででもかなり良くなりましたが。もう少しやってみます。
2.GoogleのNik Collestionで細部のディティールを出す。
PSやLightroomのエフェクトツール「Nik Collection」がGoogleから無料でダウンロードできるようになりました。以前は価格が2万円以上するアプリでしたが、かなり良いので購入して使用していました。ぜひPSを持っている方はダンロード&インストールしてください。
さて、Nik Collectionがインストールされているとして話をすすめます。「フィルター」の「Nik Collection」から「Color Efex Pro 4」を選択します。
別画像が開きます。そこから「トーナルコントラスト」を選択し、調整します。「トーナルコントラスト」とはコントラストを明るさ別にかけて、シャープな写真にするエフェクトです。
パウダーは明るい部分なのでハイライトを上げるとより陰影が付き、細かいパウダーの形まで出してくれます。ただ、上げすぎると不自然になりますし、色と色との境界線部分に不自然な線も出ますので、画像を拡大してよく見ながら調整します。
この調整加減はその画像によって変わってきますので、写真ごとにそれぞれ判断しながら調整します。
これで躍動感も出てきてどんなところを滑ったかもよくわかるようになりました。上記の方法ですと、ノイズが増えてしまいます。ノイズが気になるようでしたら「Nik Collection」の「Difine 2」でノイズを軽減してください。
最後に加工前と後の比較写真を見てみましょう。
現在の一眼デジカメは非常に優秀で、人間の目ではわからなかった陰影を確実に記録しています。PSでの作業はその陰影を目に見えるようにする作業です。どうしようもないフラットライトの一日がPSのおかげでなんとかなる一日に変わります。