クリップオンストロボの基本—出力と照射角、ハイスピードシンクロについて

クリップオンストロボの基本—出力と照射角、ハイスピードシンクロについて

電波式ワイヤレス化によりカメラから離して使うことが簡単に出来るようになったおかげで、飛躍的に使えるようになったクリップオンストロボ。ほんの数年前までなら、かなり高価なストロボを複数使わないと撮れなかったような写真も、安価な機材で簡単に撮れるようになりました。

ご存知のようにクリップオンストロボは一般にはフラッシュなどとも呼ばれていますが、強烈な光を瞬間的に発光させるもので、どんな風に写っているかわからないので初心者にとってはとっつきにくいかもしれません。しかし仕組みを把握して、使いこなしていけば、自然の光だけでは表現できない自分の世界を創造することが出来ます。

特にアクションスポーツを撮る際は、瞬間を止めて撮ることが出来るので、使いこなせれば表現の幅が飛躍的に拡大します。

今回はクリップオンストロボの基本。光の強さをどうやって操作するのか、簡単に説明いたします。

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光の強さを決める2つの要素

とても簡単に説明すると、2つ大きな要素によって光の強さを決めています。実はその2つさえ理解していれば、マニュアル発光も怖くありません。

出力

ストロボによって変わりますが、100%の出力の1から1/128のまで調整することができます。

100%出力での発光が1でその半分が1/2でその分を1段とも呼んでいます。そしてほとんどのストロボは1段の中を1/3づつ分けています。つまり以下のように最大出力から22に分かれて出力を調整することができます。

照射角

ストロボの光が広がる角度を照射角とよんでいます。ストロボの中にズームレンズが入っていると考えるとわかりやすいです。

TTL等のオート機能を使う際、カメラのレンズの画角にあわせて光もズームしてくれる機能がクリップオンストロボにはついています。ズームすればするほど光は細くなり強くなります。広角になると光は広がり弱くなります。

照射角の単位はレンズと同じくmm(ミリ)で表します。キヤノンの600EX II-RTですと20-24-28-35-50-70-80-105-135-200mmまであります。またワイドパネルを利用すれば14mmまで広げることもできます。

ガイドナンバー(GN)は光の強さ

ストロボの発光量のことをガイドナンバーといいます。GNと約されています。

ガイドナンバーは光の届く距離(m)×レンズの絞り値(F値)で算出された数値になります。その際の感度は特に断りがなければISO100です。単純にガイドナンバーが大きいとその分光が遠くに届くのです。

出力と照射角で変わるGN

出力と照射角で光量、光の届く距離が変わると説明しました。ということはガイドナンバーもその2つの組み合わせによって変わっていきます。キヤノンの600EX II-RTは最大ガイドナンバー60ですが、これは最高出力で照射角200mmの数字になります。

この値を実効ガイドナンバーと言います。これも難しい計算式があるようですが、取扱説明書の中にそれぞれの出力と照射角の組み合わせによるガイドナンバーが表になって記載されているので、必要な際はそこを見るのが早いです。

同調最高シャッタースピード

ストロボの光を完全に写し込むには、シャッター膜が完全に開きった全開にまらなければなりません。この全開にできる最高シャッタースピードがストロボにおける同調最高スピードと呼ばれています。

カメラによって変わってきますがだいたい1/250や1/200です。シンクロ同調速度とも言います。

ハイスピードシンクロ

同調最高シャッタースピードより早いシャッタースピードでも、ハイスピードシンクロの設定をすることでストロボ光がちゃんと届いた写真を撮ることができます。

同調最高シャッタースピードより早いシャッタースピードの場合、シャッター幕は先幕が走った後、全開になる前に後幕が走り出し、その隙間(スリット)の広さによって露出時間を調整しています。高速になるほどその隙間は狭くなるということです。

その狭い隙間でも光がカメラに届くようストロボが超高速で連続発光するのがハイスピードシンクロです。このことをFP発光と言います。FPとはフォーカル・プレーンシャッターの略で、カメラに付いているシャッターのことです。

下の図で理解するのが早いのですが、同調最高シャッタースピード内であればシャッター幕は全開してストロボの光とシンクロ(同調)し写真が撮れます。しかしハイスピードシャッターの場合、完全にシャッターが開ききることがありません。普通の発光だと光があたっていない部分ができてしまいます。

スリットが走っている間中、高速で連続発光してストロボとシンクロしてくれるのです。ちなみに現在は1/8000くらいが上限のようです。

キヤノンのハイスピードシンクロの説明がとてもわかり易いので、そちらも見てみてください。

それなら、全部ハイスピードシンクロ出来るようにしておけばいいじゃないか!と思うかもしれませんが、そうも行きません。連続発光することによって光量が落ちてしまうのです。ストロボを直接近くに寄せることが出来るのなら有効ですが、遠く離したりディフューズすると被写体に光が届かないことがあります。

また、カメラとストロボがこの機能に対応していないとできません。

後幕シンクロ

シャッターが閉じる寸前にストロボが光ります。通常はシャッターが開くと同時に発行が始まります。

被写体が動いている場合、長時間露光すると動いた軌跡が写ります。高幕シンクロにすることによって躍動感のある表現が可能になります。

マニュアルで撮るならこれだけわかれば大丈夫!

マニュアルで、光の強さを調整して撮影するのであれば、これらのことをよく理解していればだいたい大丈夫です。

どんな強さの光を発光するのかをクリップオンストロボで決めます。そして光の性質や形などを色々な道具…傘バン、ソフトボックス、オカマ、スヌートなどで調整して被写体に当てます。

すごく大まかに説明してしまえば、TTLなどのオート機能はストロボの出力と照射角を調整して(カメラの露出もそれに合わせて調整されます)きれいに写るようにしてくれているだけなのです。

 

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