Godox V1:約3万円、Profoto A1:約10万円。その差3倍強。
プロフォトA1も出始めの頃は余裕で10万円超えでしたが、バージョンアップモデルのA1Xが発表になったからか少し安くなってきましたね。
V1とA1。まあ、機能的に3倍ほどの差はないだろうと想像はできますが、気になるので2つを比べてみました。
外観比較
興味のない人が見たら同じものにしか見えないくらいのゴドックスのオマージュっぷりですね。
昔はナショナルやサンパックからも丸い発光面のハンディストロボが出ていましたが、クリップオンで発光部を丸くしたのはプロフォトが初なのではないでしょうか?
丸くしたことによって“直あて”でもそこそこきれいな形の光を作り出そうとしたのでしょう。
素晴らしいのはモディファイキットをネオジム磁石で取り付けられるようにしたことです。丸い形なので取り付け角度を自由に変えられる。縦位置の時すぐにディフューザーの方向が変えられるのでとても良いです。すごいアイディアですね。さすがプロフォト。
オリジナリティあふれるA1のデザイン。
発光部をただ丸くしただけではない、とても斬新なデザイン。
そんなストロボの世界に、プロフォトは全く新しい考えで、クリップオンストロボを定義し直したって感じです。かっこいいメーカーです。やはり所有欲を刺激します。
ゴドックスは今までのクリップオンの発光部を丸くしただけのような形です。裏面の操作パネルも今までの機種の流用にしか見えません。しかし流用できるところは流用してコストダウンを図っているのであれば、それはそれで素晴らしい企業努力だと思います。
発光部のパネルの違い
プリプロダクションモデルでテストしている動画だと、V1のほうがきれいな真円の光のようです。A1は若干影等が発生してしまうようです。パネルの違いで、そうなっているのでしょう。
モデリングランプ用のLEDもV1は1つですが、A1は2つついています。この件については後ほど説明します。
TTLとマニュアルの切り替えはともにワンアクション
プロフォトは側面にTTL↔マニュアルの物理スイッチがあります。このスイッチとても便利です。TTLで発光した光量をスイッチひとつでそのままマニュアルに持っていけます。
ゴドックスも裏面にTCM(TTL Convert Manual )スイッチがついていますので同じようにTTL↔マニュアルがワンタッチでできますしTTLの光量をマニュアルに引き継げます。
プロフォトの優れている点は、TTLで計算して発光した光量をTTLの設定のまますぐに数字で表示してくれます。
ゴドックスはTTL発光しても、その光量がどれくらいかTTL設定のままだとわかりません。TCMボタンを押してマニュアルにしてやっと光量がどれくらいなのか表示されます。
プロフォト A1の良いとこ悪いとこ
オリジナルなアイディアを最も早く実現したプロフォトですが、最初なだけあって使いづらいところがあります。
ダイヤルがいつの間にか回っている問題
プロフォトで少し困るのは、ダイヤルが簡単に回ってしまうことです。
ゴドックスは調光補正や光量調整のダイヤルを有効にするのに一度“+/-”ボタンを押さないとなりません。これは面倒なようですが、いつの間にか設定が変わってしまっていることを防げます。
すぐにダイヤルが反応してくれるのはありがたいのですが、現場で知らないうちにダイヤルに触っていて設定が変わっていることがありました。
大型ストロボのように据え置きで、基本的に撮り手の近くに調整部がない場合は良いのですが、クリップオンは撮り手のすぐ近くにあって触ってしまう可能性が高いのです。大型ストロボをメインに作っているメーカーならではの作りだと思いました。
ON/OFFは物理スイッチにしてくれ!
プロフォトの電源スイッチは使いづらいです。
スイッチオンはボタンを押してダイヤル回すという2アクション。スイッチオフはボタン長押し。
クリップオンの場合、ストロボあり・なしを撮りたいってことはよくあるので、この操作はとてもストレスです。
照射角調整ダイヤルがとても便利
プロフォトA1は発光部の周りがダイヤルになっていて、回すことによって照射角の変更ができます。
アウトドアでアクションスポーツを撮る場合、光の質は問わないでなるべく強い光がほしい時は直あてします。スヌートを使うまででもないけど、光をあつめて強い光にしたい時ズームして使ったりします。そんな時、簡単に設定できるのでとても助かります。
モデリングランプの照射角変更もできる
プロフォトA1には発光部下部に2つのLEDがついています。よく見てみると片方はフラットで広い角度の光を出しそうで、もう一つの方は小さなレンズのようなものが前についていて、狭くて強い光を出しそうな形をしています。
ズームリングを回すと、この2つの発光量を調節してモデリングランプの照射角を可変させるギミックになっています。
ゴドックスV1も、プリプロダクションモデルではLED2発ついていましたが、製品版は1発になっていました。10段階に調整できますが、照射角の調整はできません。
修理が大変で超高額
クリップオンはアクセサリーシュー部分の首が壊れる事故がよくあります。僕も何度か経験していますが、ゴドックスはアマゾンで千円ちょいの純正部品を購入すれば自分で簡単に修理できました。
ところがプロフォトは修理をメーカーに依頼しなければなりません。メーカーも自分で修理することを禁止しています。その上、修理代がV1を2台買えるくらいの金額かかります。時間も相当かかります。
メーカーの姿勢としては顧客の安全と製品の完璧な使用に対する担保のためですので大変よろしいと思います。ただ、これだとサブのストロボを用意できていて、この修理金額を償却できるくらいのギャランティで撮影している一部のカメラマンしか使えないです。
ゴドックスなら修理不能なくらい壊れたらすぐ買い替えることができる金額ですけど、プロフォトはちょっとそんな金額じゃないですからね〜。修理して大切に使いたいですよ。
ゴドックス V1の良いとこ悪いとこ
後出しジャンケンで良いとこ取りができたゴドックスV1ですが致命的な問題があります。
色温度問題
ゴドックスのストロボは全般的に青い、と言われています。V1も発売前のモデルをテストしていた動画でA1が5873Kに対して6274Kと言っていました。かなり青いです。
当方色温度測定器を持っていないので、ホワイトケント紙に色温度5600k固定で実際に撮ってみました。露出は入射光式露出計で計測してテキの状態での撮影です。
やはりゴドックスの方が青いです。動画のA1は製品版のようでしたので、5873kは当方のA1とほぼ同じの色温度でしょう。V1は製品版もやはり少し青いようです。
前回ファーストインプレッションで紹介した時は問題ない色温度だと判断しましたが、間違いでした。その時比較した純正ストロボがかなり青みがかっているのかもしれません。
昔スタジオでポートレイト撮影する時はよくストロボにフィルターをかましていました。厳密に色を自然光に合わせたい場合は、ごく薄い色温度補正フィルターをかますとかしないと難しいですね。
モディファイキットの互換性
プロフォトA1にはゴドックスのモディファイキットは装着できません。
しかしゴドックス V1にはプロフォトのモディファイキット、プロフォトはライトシェービングツールとよんでいるものが装着できます。
これは逆だったら喜ぶ人も多かったかもしれません。プロフォトは本体も高額ですが、アクセサリーも同じくらい高額です。最低限必要なフィルターキットだけでも2万円以上します。
ゴドックスだったらAK-R1(¥6,600)を買えばフィルターはもちろん、必要とされるものすべてが手に入ります。
比較してみた感想
う~~~ん、使い勝手はゴドックスV1の方が良いな、と私は感じました。
ただし、色温度問題はかなり気になります。
直あてや天井バウンスを多用して撮って出しで納品が多いスナップ系の仕事だと気を使いますね。しかもそんな仕事ほどギャランティも低いので高い機材は使えない。難しいです。画期的な解決方法を引き続き探っていきます。
あと、ファーストインレッションでも話しましたが、耐久性がどれくらいあるのか?が疑問です。
今のところ快調に撮影できていますが、中国製品への偏見かもしれませんが、いつまで持つのか不安なところもあります。
まとめ—GibsonとGrecoのちがい
エレキギターに詳しい人なら何となく分かると思います。
エレキギターといえばギブソンとフェンダーが二大ブランドです。その昔、日本では二大ブランドとまるっきり同じ形と仕組みのギターを作るメーカーがいっぱいありました。フェンダーに対してフェルナンデスとか。ブランド名までよせてきてました。
サウンドにそこまでの違いはありません。グレコなんて日本人が真面目に作っていたので、今では古いグレコは高く評価されています。フェルナンデスもZO-3というアンプ・スピーカー内臓のギターを作り出しましたし、サスティナーという画期的なエフェクトも開発しました。
写真とエレキギターだと世界が違いますが、同じ芸術分野で使う機材なので、なんとなく私の中ではこんなことが思い出されました。
ちなみにエレキの世界でも訴訟問題があったと思いますが、たしか日本のメーカーが勝訴していました。