Profoto A1の忠実なオマージュGodox V1。
Profotoから権利侵害の警告を受けたりして、発売前から話題になっていました。Amazonパトロールしていると、2019年ゴールデンウイーク中(4/26-5/6)にお届け予定の中国の販売店を発見し、まあこの日程で届くわけ無いだろうなと思いながらも注文してみました。
結果的に初期ロットと思われるものが、中国発送のブツ特有のへこんだ外箱とともに5/9札幌に到着しました。
かなり早く手に入ったので、ファーストインプレをしてみようと思います。
購入したのはキヤノン用のV1-C
現在の私の環境はキヤノンとソニーのカメラが混在しています。アウトドア&アクションスポーツには CANON EOS-1DX Mark IIを主に使用して、それ以外のブツや精細なもの、スナップなどの撮影にはSONY α7R IIIを使用するという環境です。
今回キヤノン用のV1-Cにした一番の理由はホットシュー(アクセサリーシュー)の材質です。キヤノン用の端子は鉄でできていて丈夫な感じですが、ソニー用の端子はプラスチック製のようです。Godox V1のPR動画でソニー用のV1-sが使われていましたが、そこで確認できました。(この動画YouTubeで5/8頃に公開されていましたが現在5/10には削除されています。何があったのか不思議です。Aries Taoというカメラマンがオーストラリアで撮影しているものでした)。
再アップされていました。
TT685のソニー用を持っていますが、数回使っただけで端子が破損してしまいました。1000円程度でリプレイス用の端子が売っているので最近修理して使えるようになりましたが、直るまではスレーブ専用のストロボになっていました。
ソニーのシンクロ端子は繊細な作りになっているので(ただ弱いだけかな)かなり気をつけて使わないとならないです。乱暴な使い方になってしまうクリップオンストロボでは、ソニー専用は極力使いたくないです。
Godox V1のここが良いってところ。ファーストインプレ
ゴドックス製品はAD200やトリガーのXproなど数製品持っているので、安かろう悪かろうの従来の中国製品ではないだろうと予想していましたが、V1もしっかりした作りです。
DJIやHUAWEIに代表される国際基準の企業の製品に近い感じです。
TCMが超絶使いやすい
背面ボタンの左上にTCM機能用のボタンがあります。これはTTLで調整された発光量をそのままマニュアルに持っていけるボタンです。
○TTLとマニュアルの切り替えボタンとして使用
キヤノン純正の600EX-RTだとマニュアルからTTLに変更するのに4回MODEボタンを押さなければなりません。
V1のMODEダイヤルもTTL→マニュアル→マルチ発光と切り替わりますが、マルチ発光なんて人生で数回しか使用したことない設定をいちいち経由しないとTTLとマニュアルを切り替えできないのは本当にストレスでした。TCMボタンは単純にTTLとマニュアルの切り替えボタンとして使えます。もちろんマニュアルからTTLへの切り替えもできます。
○TTLで発光量の目安を測り、マニュアルで微調整
いくら慣れていても任意のシャッタースピード、F値、ISO感度から適切なマニュアル発光量を算出することは難しいです。そのためスナップの現場だとTTLに頼ることがよくあります。
TCM機能があれば、ある程度頼りになるTTLで光量を算出し、その後マニュアルに移行して自分好みにプラスマイナスすることが簡単にできます。
TTLは正常に機能、いや純正よりきれいかも
キヤノンだとE-TTLということになりますが、手持ちの純正スピードライト600EX-RTで、同じ被写体を撮り比べましたが、特に違いはなく、自動調光してくれました。
ストロボの形状の違いなのか?もしくはすでに旧製品になっている私所有の600EX-RTが劣化しているのかもしれませんが、シチュエーションによってはV1のほうがきれいに出ている場面もありました。
よってV1のTTLは積極的に使用できそうです。
ディフューザーが簡単につけられる
これもプロフォトのA1のオマージュだと噂されている機能。とても使いやすいです。訴えられそうですけどどうなるんでしょうか?
ヘッド部分にマグネットで簡単にディフューザーやフィルターが取り付けられます。別売りのAK-R1が必要ですが、色温度変更フィルターやハニカムグリッド、スヌート、拡散用のドームなどがとても簡単につけ外しできます。
クリップオンストロボのディフューザーは、今までいろいろと試してきましたが、このマグネット式より着脱が簡単で便利なものはありませんでした。ネオジム磁石の一般普及が大きな役割を果たしているのでしょう。
LEDのモデリングランプが便利
「暗いところを暗い感じで撮りたい、でもほんの少しだけ光を足したい」ってときに便利です。色温度も3300Kとタングステン系統ですので、暗い感じを演出するには使いやすい色温度。
あと、V1は従来機種同様、赤色のAF補助光も使えますが、あの赤い光が邪魔なときがあります。そんなとき、このLED光を被写体に当ててフォーカス用につかうこともできそうです。
大型ストロボのモデリングランプみたいな使い方もできます。
光の質が通常のクリップオンと違う。
発光部が円形をしているので、直接発光させても円形の形状で被写体に照射されます。
ディフューズしないで直接被写体に光を当てることはあまりありませんが、これもスナップの現場ではとっさに必要となることがあります。その際に台形の発光部を持ったクリップオンよりは良好な結果が得られる可能性があります。
ヘッドの角度変更がスムース
適度なクリック感の硬さがあって、動かしやすいです。純正600EX-RTはロックボタンがあって通常状態から動かす場合そこを押さないと動きません。これが結構ストレスでした。
また、長年酷使したからかもしれませんがクリックが弱く少し重さのあるディフューザーをつけるとすぐ倒れてしまいました。
いまのところV1は当方使用のディフューザーでクリックがずれることはありませんでした。
バッテリーがパナソニック製かもしれない(未確認)
もし本当にパナソニック製のリチウムイオン電池だったらかなりのセールスポイントになります。
私はゴドックスのクリップオンは単3仕様のTTシリーズで揃えています。これはゴドックス製の充電池が信用できなかったからです。安心して使えるエネループを使いたいのです。
アマゾンのV1販売店の中に「高性能のパナソニック製リチウムイオン電池」と記載されているV1がありました。到着したら確認したかったのですが完璧に密封されていてMade in Chineと記載されているので真偽の程はわかりません。パナ製だとかなり嬉しいです。少なくともそれだけで僕は買いたいと思ってしまいます。
パナ製でなかったとしても、公称フル発光で480発、リサイクルタイム1.5秒が実現すれば、今までクリップオンにつけていた補助電源は不要になります。
その他細かい部分で気に入ってるのは、、
○ホットシューのロックがワンタッチ式になった
従来のGodox製クリップオンのロック機能はくるくる回して締め付けるものでしたが、これが結構使いづらかった。新しく採用されたワンタッチのロック機構はキヤノン純正と同じ感じですが、とても使いやすいです。
○従来のGodoxワイヤレス規格が使える
Godox製品の多くのものはモノブロックストロボも含めて同じ規格のワイヤレストリガーで制御できます。しかもそのトリガーが安くて高性能。V1も当然その企画に準拠しているので手持ちのGodoxストロボと混在してワイヤレス多灯発光できます。
V1をマスターにして使うことももちろんできます。
○安い
キヤノン純正の半額、Profoto A1の1/3の値段で購入できます。これでしっかり数年使うことができたら本当に安い!ちゃんと使えるストロボって本当に高かったです、今まで。いい時代になりました。
○ソフトケースが少しよくなった
私の所有しているGodoxクリップオンのソフトケースはどれもペラペラで安っぽかったのですが、V1のものは若干質感が上がりました。ベルト等につけられるベルクロがついたりしています。
Profoto A1に比べるとまだまだ安っぽいですが。。
いまいちな部分
とても良さそうなクリップオンストロボですが、もう少し頑張ってくれるといいなってところはもちろんあります。
マニュアル調整が細かすぎる
フル発光の1/1から1/256まで設定できるのですが、1段調整(光の量を倍に増やす、もしくは1/2減らすことです)するのに10段階調整する必要があるのです。
例えば1/1から1/2に変更するのに
1/1→-0.9→-0.8→-0.7→-0.6→-0.5→-0.4→-0.3→-0.2→-0.1→1/2
とダイヤルをくるくる回さなければなりません。これが結構厄介です。こんなに細かくなくていいです。1/3段ずつ、
1/1→-0.7→-0.3→1/2
3クリックで1段変更できるようにしたいです。設定で変更できそうなことなので、いろいろと見てみましたが変更できなさそうです。ファームアップ等でなんとかできるようになるとかなり嬉しいのです。
【追記】
1段ずつ変更するにはダイヤルを回さずに、ダイヤルの上部と下部を押すことで出来ました。
1/1→1/2→1/4→1/8→1/16→1/32→1/64→1/128→1/254と変更できます。これがあれば十分ですね。
ちなみにこれもマニュアルには記載されていません。
取扱説明書が説明不足、しかも英語。
私が購入した販売店から送られてきたブツには中国語と英語で記載された取扱説明書しか内包されていませんでした。
私のイチオシ機能であるTCM機能についてはほとんど語られていません、というか一言も触れられていません。ご丁寧に普段ほとんど使うことのないFEロック機能については説明があるのになぜでしょうか?
ケンコーさんが正式に発売するようになれば丁寧で、しかも日本語の取説が出るかもしれませんが、現状の取説は不親切。手探りで使い方を習得するしかないです。
防水ではない
Godox製品全てに言えることなのですが、この製品も防水ではありません。バッテリーもほぼむき出し状態で、水にはかなり注意をはらわなければいけないでしょう。
クリップオンストロボは野外での使用も想定されるので、Godoxにもそろそろ防水や堅牢性への取り組みをはじめてほしいです。
私が未だに高価なキヤノン純正クリップオンを手放せないのは、野外の雪の降りしきる中での使用が多いからです。
デザインがちょっと微妙、、
これは特にディスプレイ部分。今までのクリップオンの流用のような感じで、目新しさがありません。プロフォトのA1までとは言いませんが、独自のデザインで勝負してくれば、もっと評価が上がる気がします。
ただ、見た目のかっこよさに力を入れず、流用できるところは流用してコストダウンをしているかもしれません。そうであるならこの部分は目をつぶっても良いかもしれませんね。
光量はクリップオン並
クリップオンなのに光量の表記がガイドナンバーではなく76Wsと表記されています。
他社のフラッグシップだと大体ガイドナンバー60くらいが最大ですが、これも実写したところほぼそれと同等でした。まあ妥当な出力だと思いますが、もう少し強かったら嬉しかったです。
モノブロックストロボが150~400W程度ですので弱い気もしますが、デジカメで感度を上げても劣化が少なくなった今、そんなに高出力は必要ないです。私は1200Wのジェネレータ別体のサンスターのストロボをいまだに使っていますが、F値を絞って全域に渡ってバリバリピンが来るようにする場合でも1200Wフル発光することはないです。
ですので残念ポイントと言うほどのことではないですが、一応そんなに光量は強くない、良くてフラッグシップクリップオン程度ということです。
ファーストインプレのまとめ
今までのGodox製品の印象から、V1も問題ないだろうと思っていましたが、ファーストインプレは予想以上に良い出来という感想です。
発売前のプリプロダクションモデルでテストしている海外のYouTubeでは、色温度が6200K位あるなんて紹介していて、どうなのかと思いましたが、発光テストした感じだと公称5600K±200はほぼ正しい数値じゃないかな、という印象です。
カラーメーターを持っていないので詳細はわかりませんが、実写テストではそんなに青っぽくありませんでした。むしろ600EXのほうが青かった。ただし600EXの経年劣化で色温度が変わってしまった可能性もあります。
問題なのは耐久性のみです。
私の所有するキヤノン純正スピードライト600EX-RTは2型も出て旧機種になり、いつ買ったのかわからないくらい前に買いましたが、色温度の問題は今後要検証ですが、いまだに問題なく機能してくれます。しかも最低でも週に2回数百発は発光していますし、北海道の極寒環境で雪に降られる野外での使用もしています。
キヤノン純正フラッシュは壊れたから買い替えたって記憶がありません。それくらい丈夫です。値段もその分高いですが、本番中発光しなくなるなんてこともありませんでした。
Godox製品もすぐ壊れるという噂を聞いたことがありませんが、プロも普通に現場で使うようになってまだ数年です。これからいろいろな話が出てくるでしょう。
私はこの先、キヤノン600EX-RTからGodox V1にメインのクリップオンは変更する予定です。本格的に使用した感想や、Profoto A1との比較、あと不具合等あれば随時報告していきます。