こちら北海道の1月と2月は晴れている日が珍しいくらい毎日雪か曇りの日です。旭岳に2週間滞在して一日も晴れなかったってことはよくあります。
短いシーズン中、雪とか曇りだから山に登らない、なんて言ってたらあっという間に春になります。カメラマンはどんな気象条件でも写真を撮らなければなりませんし、結果も残さなければなりません。
そんなフラットライト状態の時に写真を印象的なものにするためストロボを使います。
やっかいなフラットライトとは?
斜面の凹凸や、場合によっては上下すらわからないような状態を我々はフラットライトとよんでいます。写真用語というよりもスキー、スノーボード用語としてライダーたちがよく使っています。撮影には不向きなのはもちろん、滑っていても危ないし楽しくないです。
雪や曇、霧の中に入っているときなどにそういった状況になります。雪山は一般的に標高も高いので、雲の中に入ってしまうことがあります。そのためフラットライトな状態になることはよくあります。もっと状況が悪くて数メートル先すらわからない状態はホワイトアウトとよんでいます。
滑ることができないくらいのフラットライトだと撮影もしませんが、単に曇っているくらいで滑るのに支障ないときは普通に撮影します。
ストロボの使用
ストロボを使って、平らな(フラット)光ではない、直線的な光を作り、光と影を演出します。場合によっては昼なのに夜のようにしてしまいます。写真用語的には日中シンクロなどと呼ぶ方法です。
ストロボを持っていて、設置する場所と時間があるのなら、これにまさるものはありません。フラットライトに負けない印象的な写真を残すことができます。
日中は大型ストロボが必要

フラットライトの状態でも日中は結構明るいものです。かなり光量の強いストロボでないとうまくいきません。ストロボを画角内に入れないように撮るには、ストロボを被写体からはなす必要があるからです。
だいたい400W以上の出力を持つストロボでないとあまり意味がありません。
下記の写真は昼過ぎでまだ明るかった。1100Wの大型ストロボをライダーズライト(画面向かって左側、ライダーから見て右側)からフル発光して、被写体にあたる光がテキになるように露出を決定して撮影した。出来上がりを予測し光の明るさも計算。なおかつ一瞬のシャッターチャンスなので、かなり難易度の高い撮影技法である。

もう一つ。下の写真は完璧な昼間で太陽の出ている明るい時間だったが、日陰での撮影でなんとも面白くない光の状態だった。そのためライダーのタイプやその場の雰囲気を考えて1100Wのストロボにマゼンタ(赤)のフィルターをつけて撮影した。この時も1100Wフル発光。

夕方以降はクリップオンストロボでもOK

最近はクリップオンストロボの性能が飛躍的上がっていて、しかも無線で操作できるので、積極的に雪山で使用している。特に夕方以降や夜、ナイトシューティング時にはとても効果的な撮影を行うことが出来る。
ただし、光量は昔にくらべ強くなったとはいえ、大型ストロボほどの光量はない。しかし、手軽に山に持ち込めるのは力強い。600wクラスでモノブロックタイプの充電式ストロボも現在はありますが、それにしても高価で大きいです。雪山に持ち込むには少し覚悟がいります。それに引き換えクリップオンストロボは簡単にバックの片隅に入れておけます。
現在、私はキャノン純正のクリップオンストロボとワイヤレス・トランスミッターを使用しています。ともに防塵防水なので雪でもレインカバーなどつけずに使用できます。

まとめ
ストロボ使用は海外のスノーボードやスキーの撮影で一時期爆発的に流行しました。みんなエリンクロームやプロフォト等のジェネレーター別体の1000w以上のスタジオ用のバッテリー式ストロボを使用していました。
特にキッカージャンプでよく使われていました。理由は単純で、スノーモービルやリフトで現場まで大きなストロボを持っていけるからです。バックカントリーでの使用は現場まで足で運ばなければならないのでかなり大変です。
日本国内ではワイヤレスシステムも含めると40万円以上するストロボを用意すること自体が高いハードルで、なかなかここまでの撮影を出来る人はいませんでしたが、私を含め何人かは雪山に大型ストロボを持ち込んで撮影をしていました。
しかし現在は中国製の性能が高く金額の安いバッテリー式ストロボが発売されているので、金額的なハードルは少し低くなってきました。私も今シーズン、中国製ストロボを雪山で試してみようと思っています。
ストロボを使った細かい撮影方法も、この先どんどん紹介していく予定です。ご期待下さい。