プロのスノーボードカメラマンはキヤノンかニコンの一眼レフを使っている人がほとんどでした。私の感じだとキヤノン75%、ニコン25%のイメージでした。他の業界のプロカメラマンと同じような感じで、キヤノンとニコンの一眼レフがデファクトスタンダードでした。
ちなみに私はキヤノンを使用していますが、なぜ選んだかというと「スポーツやポートレイトはキヤノン」とプロの世界で言われていたからです。僕がカメラメーカーを選んだのは20年以上前で、情報はあまりなく、近くのプロカメラマンも35mmはニコンかキヤノンだったので、まあキヤノンでいいかな、くらいの感じでした。
ところが2017年にソニーがα9を発売してプロカメラマンの状況が変わりました。スノーボードカメラマンの世界でも当然変化が起こり、ニコンからソニーに完全移行したプロもいます。
私も仕事でα9とFE100-400のセットを使ってみて、結局α7RIIIを購入しました。キヤノンのレンズはマウントアダプター(メタボーンズやシグマのMC-11)を使用して普通に使えるので、αシリーズを導入する敷居が低いというのも有りました。
さて、そんな状況の中、今シーズン数回ソニーの一眼ミラーレスを使ってみた上で、今どのメーカーを選べばよいのか、少し整理してみました。
スノーボードカメラマンがカメラに求める条件
まず、スノーボードカメラマンはカメラに何を求めているのか?条件をまとめてみました。
壊れない
私がフラッグシップを使用しているのは、この強靭さを求めている部分が一番大きいです。
壊れなければ、最悪なにか撮れています。壊れたらその場で終了です。極寒、防風、降雪の中ですから、かなり強くないと困ります。
現在では他メーカー、オリンパス、ペンタックス、富士フィルムのフラッグシップも防塵・防滴・耐低温をうたっています。おそらく日本の雪山でスキーやスノーボードを撮る程度でしたら、キヤノンやニコン以外でも最新のフラッグシップを選んでおけばそう簡単に壊れることはないと思います。
操作のしやすい
カメラ屋さんで持ってみれば握り加減やシャッターフィーリングくらいはわかると思いますが、本当の操作性は実際現場で使ってみないとわかりません。
一眼デジカメで写真を撮る場合、多くの設定事項があります。一つ間違っただけでまったくダメになることもあります。これらの設定事項の調整が直感的でわかりやすくないと、とっさの反応ができません。
その辺りのこなれた感じはキヤノンやニコンが優れています。ソニーにはもう少し頑張ってもらいたいところはここですね。ただし、それは慣れの問題もあると思います。私は20年以上キヤノンしか使ってこなかったので急に他のカメラを持てば操作しづらく感じるものだと思っています。
ボデイの大きさ問題
ミラーレス一眼が台頭してくるにつれて、ボデーは小さくなって行きました。確かにC社N社のフラッグシップは大きすぎ重すぎです。しかし操作性は抜群です。自分の目のように操作できます。
ソニーのαシリーズは小さくしすぎてグリップしづらく操作しづらいです。雪山ではグローブをつけたままある程度の操作をします。小さすぎて操作ができないようだと困ります。
しっかりとボディをホールドできて、ボタンやダイヤル類も押しやすくて回しやすい大きさにしてほしいです。
高速オートフォーカスとフォーカスエリア
現在はオートフォーカスを多用しています。正確で高速なオートフォーカスはとても大事な要素です。動く被写体にピントを合わせ続けるようなオートフォーカスも結構使っています。
この辺りは各社癖があるとは思いますが、使ってみるとどこも高性能になってきています。
特にミラーレス一眼に関しては従来の一眼レフよりオートフォーカスポイントが広がっているので、構図作りもしやすいです。
現在のところソニーのミラーレス一眼が一歩先に行ってる感があります。
使いたい、もしくは使えるレンズが有るか?
一眼レフ、ミラーレス一眼、ともにスノーボードを撮るのに最適のレンズがそのメーカーに有るかどうかもとても大きな問題です。
私イチオシの小三元は各社揃っていて評判もいいのでどこを選んでも間違いないでしょう。
連射は秒間7コマ以上で30連射可能
シークエンスと呼ばれる連続写真を撮る際、1アクションで30コマくらい連写し続けることがあります。連写も秒間10コマ撮ることはほとんどありません。だいたい秒間7〜8コマ当たりに設定して撮っています。
ミラーレス一眼だとブラックアウトせずに連射することが出来るので、これはソニーのαシリーズにすると問題は解決します。ただしαシリースのROWデータはなぜか大きい。。
まわりが使っている
情報交換やちょっと使ってみるということが可能になるので、まわりで使っている人が多いメーカーのカメラを買うのがいいと思います。特に、写真の撮り方を親切に教えてくれる詳しい人がまわりにいれば、その人と同じメーカーにするのがいいと思います。
違うメーカーだと、同じ機能で呼び名すら違うこともあるので、同じメーカー同士のほうが話が早いです。
結論_どこを選ぶか
2018年、メーカーの現状を考えながらちょっと考えてみます。
Canon
選んで問題ありません。会社規模も大きく、開発能力もとても高いのでこれから先も長く使っていくことが出来る信頼のメーカーです。レンズ群も高性能なものが揃っています。遅かれ早かれプロが使えるミラーレス機も発表してくれるでしょう。
ただ大きな会社過ぎて愛用者の利便性よりもマーケティングのほうが優先されているように感じることがあります。フラッグシップは使い心地や撮れた画は最高ですが、それより下のモデルになるとなんとなく出し惜しみをしている感じがして、魅力的な機種がない気がします。
Nikon
選んで問題ありません。私はキヤノンユーザーですがニコン製品にいつも憧れています。質実剛健で忠実に被写体を捉えるイメージが有ります。デザインもかっこよくて、所有する喜びを感じるでしょう。ニッコールレンズも永遠の憧れです。昔からの歴史にもグッとくるものがあります。
ただし、一時期会社の経営が不安定かの報道がありましたが、これだけ歴史があり大きな会社ですので、問題はないのではないかと思っています。フルサイズミラーレス一眼の開発も発表されましたので、ますます楽しみです。
Sony
私の個人的な感想として、雪山でアクションスポーツを撮るには現時点ではもうちょっとですが、選んで問題ないです。スノーボードを撮るためのレンズもすでに揃っています。
撮れる画は現状世界最高です。自社開発センサーとツァイス系列のレンズで良い画が撮れなかったらカメラマンの腕が悪いのです。なにしろワクワクするような新製品を続々と出してくれるのがいち消費者として楽しみでもあります。
マーケティングの強い会社のイメージですが、現場ではカメラマンの意見をよく聞いて製品に反映させています。
特に、札幌在住のプロカメラマンにとっては、キヤノン・ニコンともに札幌からサービスセンターが撤退した現在、サービスセンターと新製品をすぐにさわることができるショールームがあり、プロサービスの担当者が常駐しているソニーはとてもありがたいです。そのことだけでもソニーへのマウント変更を本気で考えてしまいます。
あとは好み
現状ではキヤノンとニコンのどちらかを選ぶのが無難な印象ですが、将来性を見込んでソニーにしておくのもいいです。
ニコンはだいたい2年毎にニューモデルを出しますが、キヤノンは4年毎です。キヤノンのほうが先に行っている時もあれば、ニコンのほうが先の時もあります。そしてソニーもだいたい2年毎にニューモデルを出しています。
ソニーはまだまだな部分もありますが、プロからのフィードバックをとても真剣に聞いて製品作りをしているので、上位2社に近づくのは時間の問題です。まあ、追いつくと言っても操作性とかボディサイズみたいなマイナーチェンジでなんとかなるような些細なことです。何度も書きますが画質とか性能は世界一ですから。
身も蓋もない結論ですが、この冬スノーボードを撮るのに一眼を買うのならどのメーカーを選んでも問題なし。この3社の中だったらイメージで選んでも問題ないです。私も最初は「まあキヤノンでいいかな」くらいで選んで、今のことろ大きな問題もなくプロとしてやってこれています。
私が今からカメラやレンズを揃えてスノーボードを撮る初心者なら、悩みますね〜。フラッグシップが買えるならキヤノンかニコンですが、ミドルクラスならEOS-5DやD850ではなく、使いづらくてもα7IIIを買いますね、間違いなく。
みなさんも、イメージで好きなメーカーを選んで、自分の目とおなじになるまで使い込んでください。するとかっこいいスノーボード&スキーの写真は自ずと撮れるようになりますよ。